ホームページリニューアルの要件定義と社内の進め方 提案書と稟議で押さえる項目
ホームページを作り直したほうがよいのはわかっているものの、社内で話を通すところで止まっている。上司からは「今のままで何が困っているのか」と聞かれ、うまく答えられない。制作会社に見積もりを頼もうにも、何をどう伝えればいいのかがわからない。担当を任された方が最初にぶつかるのは、実はデザインの話ではなく、この社内調整と要件の整理の部分です。
要件定義というと専門的な作業に聞こえますが、中小企業のホームページであれば、決めるべきことはそれほど多くありません。目的、対象、必要なページ、予算と時期、そして誰が判断するか。この5つを紙に落とすだけで、制作会社との会話も社内の説明も一気に進みます。この記事では、要件定義で決める項目と、提案書や稟議書に書くべき内容を、承認を通しやすい書き方まで含めて整理します。
この記事でわかること
- 要件定義で決めるべき5つの項目
- 目的を「きれいにしたい」から具体的な言葉に変える方法
- 社内提案書と稟議書に書く内容の型
- 承認が通りにくいときの立て直し方
要件定義で決める5つの項目
制作会社に渡す情報と、社内で承認を取るための情報は、実はほぼ同じです。次の5つを埋めれば両方に使えます。
| 項目 | 決めること | これが無いと起きること |
|---|---|---|
| 目的 | 何が変われば成功と言えるか | デザインの好みだけで議論が終わらない |
| 対象 | 誰に見てほしいのか | 全員向けの当たり障りのないサイトになる |
| ページ構成 | どのページを何のために置くか | 見積もりが比べられない |
| 予算と時期 | いくらまで、いつまでに | 提案が的外れになる |
| 体制 | 誰が決め、誰が原稿を出すか | 制作が途中で止まる |
目的は「困っていること」から書き出す
最初につまずくのが目的です。「デザインが古いから新しくしたい」では、上司を説得する材料になりません。目的を言葉にするコツは、理想から書くのではなく、いま実際に困っている場面から書き出すことです。
たとえば、スマートフォンで見ると文字が小さくて読めないと取引先から言われた。求人に応募した人から会社の様子がわからなかったと言われた。問い合わせフォームがどこにあるかわかりにくい。名刺を渡した相手が検索しても会社が出てこない。こうした具体的な出来事を並べていくと、それぞれが「何を直せばよいか」に直結します。困りごとが3つも挙がれば、それが目的の骨格になります。
対象は絞ったほうが通りやすい
見てほしい相手を「お客様と求職者と取引先」と並べると、結局どこにも刺さらないサイトになります。今いちばん増やしたい相手を一つ選び、次点を一つ添える程度に絞ってください。絞ることに不安を感じるかもしれませんが、絞ったほうが制作会社の提案は具体的になり、社内でも判断がしやすくなります。
ページ構成はページ名だけでなく役割まで書く
「会社概要、事業内容、実績、採用、問い合わせ」とページ名を並べるだけでは、見積もりの精度が上がりません。それぞれのページで訪問者に何を理解してほしいのかを一行添えてください。ページ数の考え方については中小企業のホームページの構成をまとめた記事が参考になります。
予算と時期は幅で伝える
予算を伝えないほうが安い提案が来ると考える方がいますが、実際には逆で、的外れな提案が来て比較ができなくなります。「初期にいくらまで、月々いくらまで」という幅で伝えるほうが、現実的な提案が集まります。時期についても、決算や展示会、採用の募集開始など、動かせない日があるならそれを明示してください。期間の目安はホームページリニューアルの期間をまとめた記事で確認できます。
体制は最初に決めておかないと必ず止まる
制作が止まる原因の多くは、技術ではなく社内の作業です。原稿を誰が書くのか、写真を誰が用意するのか、デザインの最終判断を誰がするのか。ここを決めずに始めると、確認待ちで日程がずるずる延びます。判断する人は一人に決めるのが鉄則です。関係者全員の意見を取り入れようとすると、まとまらないまま時間だけが過ぎます。
社内提案書に書く内容
要件が整理できたら、そのまま社内の提案書に組み替えられます。承認する側が知りたいのは、デザインの美しさではなく、なぜ今なのかと、いくらで何が変わるのかです。
現状の問題を事実で書く
最初のページには、いま起きている困りごとを具体的に書きます。可能であれば数字を添えてください。アクセス解析を入れていれば、スマートフォンからの訪問がどれくらいあるか、どのページで離脱しているかがわかります。数字がなければ、取引先や求職者から実際に言われた言葉をそのまま引用するだけでも説得力が出ます。推測ではなく実際にあった出来事を書くのが要点です。
放置した場合に何が起きるかを書く
承認が下りにくいのは、やらなくても困らないように見えるからです。今のまま何もしなかった場合に想定される不利益を書き添えてください。採用の応募が集まらない状態が続く、取引先からの信用が下がる、といった影響です。ここは断定できないことも多いので、断定せずに「懸念がある」という書き方で構いません。
費用は総額と月額の両方で示す
費用は初期費用だけでなく、公開後に毎月かかる費用まで含めて示してください。承認する側が気にするのは、一度きりの出費より継続的な負担です。一括で作る場合と月額で持つ場合の総額を並べておくと、判断がしやすくなります。
効果は控えめに書く
提案書で問い合わせが何倍になると書きたくなりますが、根拠のない数字は後で自分の首を絞めます。「問い合わせの導線をわかりやすくする」「スマートフォンで読める状態にする」といった、確実に起こる変化を書くほうが安全で、実際には通りやすくなります。
稟議書で押さえる項目
稟議書は提案書より短く、判断に必要な情報だけを並べる書類です。会社ごとに様式は違いますが、埋めるべき内容は共通しています。
金額の根拠を分解する
総額だけを書くと「高い」で終わります。デザイン、ページ制作、原稿、写真、公開後の保守といった内訳に分けて書いてください。分解すると、どこが削れてどこが削れないのかの議論ができるようになります。
複数案を並べる
一つの案だけを出すと、承認か却下かの二択になります。最小構成、標準、拡張の3案を並べ、それぞれの金額と得られることを書いておくと、「まずは最小構成で」という着地が生まれます。担当者としても、全否定されるリスクを下げられます。
いつまでに決めてほしいかを書く
期限のない稟議は後回しにされます。制作会社の見積もりに有効期限がある、採用の募集開始に間に合わせたい、といった理由を添えて、判断してほしい日を明記してください。
承認が通らないときの立て直し方
一度で通らなくても、進め方を変えれば動くことがあります。
規模を小さくして再提出する
全ページの作り直しで通らなかったなら、トップページだけ、あるいは採用ページだけに範囲を絞って出し直す方法があります。小さく始めて成果を見せてから広げるほうが、社内では動きやすい場合が多くあります。
実物を見せてから判断してもらう
紙の提案書だけでは、出来上がりが想像できないために判断が止まることがあります。企画書の説明より、実際の画面を見てもらうほうが早いという場面は少なくありません。たとえばサブスク型のホームページ制作である見てからwebでは、契約前に動くトップページを最大3案まで無料で制作し、実物を見てから契約を判断できる形をとっています。制作費は0円で、料金はLIGHTプラン(1〜2ページ)が月額9,900円、BUSINESSプラン(3〜7ページ)が月額14,900円、RECRUITプラン(8〜12ページ)が月額19,900円、いずれも税別・最低契約6ヶ月です。月額には毎月3回までの更新、SEO、SSL、サーバーとドメインの管理が含まれます。稟議の場に実際の画面を持ち込めるため、想像で議論が止まりやすい社内では通しやすくなることがあります。
もっとも、独自の予約システムや会員機能が必要な場合、あるいはページ数が多く複雑な要件がある場合は、要件定義から丁寧に組み立てられる制作会社に相談するほうが適しています。自社の要件の複雑さに応じて相談先を選んでください。
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よくある質問
要件定義は自社でやる必要がありますか
すべてを自社でまとめる必要はありませんが、目的と対象と体制だけは自社で決めておいてください。ここが決まっていないと、制作会社は提案の軸を作れず、結果として的外れな見積もりが並びます。ページ構成や機能の細部は、相談しながら詰めていく形で問題ありません。
目的が「デザインを新しくしたい」しか出てきません
理想から考えるのではなく、実際に困った場面を書き出してみてください。スマートフォンで読みにくいと言われた、求職者に会社の様子が伝わらなかった、問い合わせ先がわかりにくいと指摘された、といった出来事が3つ挙がれば、それが目的になります。困りごとから逆算するほうが具体的になります。
予算は伝えないほうがよいですか
伝えたほうが実のある提案が集まります。予算を伏せると、各社が想定する規模がばらばらになり、比較ができない見積もりが並びます。初期にいくらまで、月々いくらまでという幅で伝えれば、その範囲での最善案が出てきます。
稟議で費用が高いと言われたらどうすればよいですか
総額のまま議論すると平行線になります。デザイン、ページ制作、原稿、写真、保守といった内訳に分解し、どこを削れるかを示してください。あわせて、範囲を絞った最小構成の案を用意しておくと、全体が止まるのを避けられます。
社内の関係者が多くて意見がまとまりません
意見を集める人と、決める人を分けてください。関係者からの意見は聞いたうえで、最終判断は一人に委ねる形にしておかないと、制作の途中で方針が揺れて日程も費用も膨らみます。誰が決めるのかを最初に明文化しておくことが、いちばん効く対策です。
まとめ
ホームページリニューアルの要件定義でやるべきことは、目的、対象、ページ構成、予算と時期、体制の5つを紙に落とすことです。専門的な作業ではなく、社内で決めておくべきことを整理する作業だと考えてください。この5つが埋まれば、制作会社への説明も社内の提案書も同じ材料で書けます。
目的は理想から書くのではなく、実際に困っている場面から書き出すと具体的になります。提案書では現状の問題を事実で書き、放置した場合の懸念を添え、費用は初期と月額の両方で示し、効果は控えめに書く。この順番が、承認を通すうえでは堅実です。
稟議書では金額を内訳に分解し、最小構成を含む複数案を並べ、判断してほしい期日を明記してください。それでも通らない場合は、範囲を絞って出し直すか、実物の画面を見てもらう形に切り替えると動き出すことがあります。書類の完成度を上げることよりも、判断する人が判断できる材料をそろえることが要点です。
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